
「これ、昔流行ったよね」と言ったものが、若い世代には新しく見えることがあります。
純喫茶、レコード、デジカメ、ルーズソックス、たまごっち、ガラケー、平成女児っぽい雑貨。
一度は過去のものになったはずの流行が、今になってまた楽しまれています。
面白いのは、同じものを見ても世代によって感じ方が違うことです。
ある人には懐かしく、ある人には新しく、ある人には少し不便だからこそ楽しい。
昭和・平成・令和の流行をざっくり振り返ると、日本の暮らし方や楽しみ方がどう変わってきたのかも見えてきます。
気になる内容からチェック
昔の流行は、今の暮らしを映す鏡になる
昭和・平成・令和の流行を振り返ると、単なる「懐かしいもの一覧」では終わりません。
昭和は、モノを持つことや家族で同じテレビを見る時間が大きな楽しみでした。
平成は、ガラケーやインターネットによって、個人の趣味やつながり方が一気に広がりました。
令和は、SNSや動画、サブスク、推し活によって、流行の広まり方そのものが早くなっています。
内閣府の元号資料では、平成は1989年1月8日から、令和は2019年5月1日から使われたことが確認できます。この記事では、昭和については主に戦後から1980年代、平成は1989年から2019年、令和は2019年以降を中心に見ていきます。
昭和・平成・令和の流行りもの年表
まずは、時代ごとの流行を大まかに見てみます。
すべてを網羅した年表ではありませんが、暮らし・遊び・ファッション・メディアの変化が見えやすいものを中心に並べています。
| 時代 | 主な年代 | 流行りもの(例) | 暮らしの変化 |
|---|---|---|---|
| 昭和 | 1950〜1960年代 | テレビ、レコード、駄菓子屋、喫茶店、家庭用電化製品 | 家の中に娯楽や便利な家電が増えていった |
| 昭和 | 1970年代 | フォークソング、ボウリング、ファミリーレストラン、アイドル文化 | 家族・友人・地域で同じ流行を共有しやすかった |
| 昭和 | 1980年代 | ファミコン、カセットテープ、ラジカセ、バブルファッション | 個人で楽しむ娯楽や若者文化が目立ち始めた |
| 平成 | 1990年代 | ポケベル、プリクラ、ルーズソックス、たまごっち、CD | 学校・友人関係・音楽・ファッションの流行が強かった |
| 平成 | 2000年代 | ガラケー、着メロ、デコメ、mixi、前略プロフィール、ブログ | 携帯電話とネットで個人発信が身近になった |
| 平成 | 2010年代 | スマホ、LINE、YouTube、Instagram、サブスク | 流行の中心がテレビからスマホへ移っていった |
| 令和 | 2019年以降 | TikTok、推し活、平成レトロ、デジカメ、レコードカフェ、生成AI | SNSで過去の流行も新しい形で広がるようになった |
こうして見ると、昭和は「みんなで同じものを楽しむ時代」、平成は「自分らしさを出し始めた時代」、令和は「過去も現在もSNSで混ざる時代」と言えそうです。
昭和の流行りもの|みんなで同じ時間を共有していた時代
昭和の流行には、どこか人の気配があります。
家族でテレビを見たり、商店街で買い物をしたり、駄菓子屋に集まったり、喫茶店でゆっくり過ごしたり。
今のように一人ひとりが別々の画面を見るのではなく、同じ場所で同じものを楽しむ時間が多かった時代です。
テレビ・レコード・喫茶店が作った共通の思い出
昭和の流行を語るうえで、テレビや音楽、喫茶店文化は外せません。
テレビ番組を家族で見る。
レコードを買って、何度も同じ曲を聴く。
喫茶店でクリームソーダや固めのプリンを楽しむ。
今の若い世代にとっては、こうしたものは「古い」というより、写真や動画に残したくなる雰囲気として映ることがあります。
SHIBUYA109 lab.が2025年1月28日に公開したレトロカルチャーの変遷レポートでも、2025年現在、Y2Kやレトロ喫茶などのレトロカルチャーがトレンドとして注目されていると紹介されています。さらに、昭和カルチャーは純喫茶のメニューだけでなく、空間も含めて体験として楽しまれているとされています。
平成の流行りもの|ガラケーとネットで「自分らしさ」が広がった時代
平成の流行には、今見ると少し不便だけれど、妙に愛おしいものがたくさんあります。
ポケベル、ガラケー、着メロ、デコメ、プリクラ、ルーズソックス、たまごっち。
どれも今のスマホ時代から見ると手間がかかります。
でも、その手間こそが平成らしさでもありました。
ガラケー・プリクラ・デコメの時代
平成の10代・20代にとって、ガラケーはただの連絡手段ではありませんでした。
着メロを選ぶ。
待ち受け画像を変える。
メールに絵文字やデコメを入れる。
友達とプリクラを撮って、手帳や携帯に貼る。
今なら一瞬でできることに、当時は少し時間がかかりました。
だからこそ、自分らしさを出す余地がありました。
平成レトロは「懐かしい」と「新しい」が同時に起きる
平成レトロが面白いのは、同じものを見ても世代によって受け止め方が違うところです。
30代以上にとっては、ガラケーやプリクラ帳はリアルな記憶に近いものです。
一方で、10代・20代にとっては、実際には使ったことがないからこそ新鮮に見えることがあります。
日本インフォメーションが2026年4月24日に公開した平成レトロに関する調査では、平成レトロは若者を中心に広く浸透し、約半数が関連商品に関心や購買経験を持つとされています。また、10代の感じる「エモさ」と30代の「懐かしさ」が共存している点も指摘されています。
令和の流行りもの|SNSで過去も現在も混ざる時代
令和の流行は、とにかく広がるのが早いです。
TikTokで昔の曲が再注目される。
平成のキャラクターやおもちゃがグッズ化される。
あえてデジカメで撮ったような写真が好まれる。
レコードやカセットのようなアナログなものが、若い世代にも楽しまれる。
便利なものが増えた一方で、少し不便なものや手触りのあるものが、逆に新しく見えるようになっています。
令和の流行は「古いものを今っぽく楽しむ」
令和のレトロブームは、昔をそのまま再現するだけではありません。
昭和っぽい喫茶店をSNSに投稿する。
平成女児風の雑貨を今のファッションに混ぜる。
昔の曲を動画のBGMとして使う。
デジカメやフィルム風加工で、あえて粗さを楽しむ。
SHIBUYA109 lab.の2025年1月28日公開レポートでは、レトロカルチャーはSNSでシェアできるフォーマットとして広がり、昔を「体験」することが面白がられていると説明されています。また、昭和カルチャーやY2Kは一過性のブームではなく、定常的に楽しまれるジャンルになっているとも分析されています。
なぜ昔の流行が今また注目されるのか
昔の流行が再び注目される理由は、単に「懐かしいから」だけではありません。
大きく分けると、3つの理由があります。
1. 知っている世代には懐かしく、知らない世代には新しい
昭和レトロや平成レトロは、世代によって意味が変わります。
リアルタイムで経験した人には、思い出として残っています。
一方で、経験していない若い世代には、見たことのないデザインや文化として新鮮に映ります。
同じものを見ているのに、片方は「懐かしい」、もう片方は「かわいい」「エモい」と感じる。
このズレが、世代を超えて話題になりやすい理由です。
2. SNSで見せやすい
レトロなものは、写真や動画にしたときに雰囲気が出やすいです。
クリームソーダ、古い看板、レコード、デジカメ写真、平成っぽいシールや文房具。
どれも言葉で説明するより、見た瞬間に空気が伝わります。
SHIBUYA109 lab.のレポートでも、レトロカルチャーから得られる印象は、若者の間でビジュアルとして理解されていると紹介されています。
3. 便利すぎる時代に、少しの手間が楽しい
令和は便利な時代です。
音楽はすぐ聴けます。
写真は何枚でも撮れます。
動画もニュースも、スマホひとつで見られます。
その一方で、レコードをセットする、デジカメの画像を取り込む、手帳にシールを貼るといった少しの手間が、逆に体験として楽しまれるようになっています。
ネオマーケティングが2024年5月23日に公開したリバイバルコンテンツ調査では、全国の20歳以上の男女1,000名を対象に調査が行われ、リバイバルコンテンツを「過去に人気のあった商品・サービス・コンテンツ・文化が再注目されたり、今の時代に合った新しい形で再現されたりすること」と説明しています。調査では、20代男性のリバイバルコンテンツ認知者のうち71.1%が購入または有料利用の経験ありとされています。
世代別に見る「懐かしい」の違い
同じ流行を見ても、世代によって感じ方は変わります。
10代・20代は「知らないから新しい」
10代・20代にとって、昭和や平成の流行は実体験ではないことも多いです。
だからこそ、ガラケーやデジカメ、レコード、平成っぽい雑貨が新しく見えることがあります。
古いものをそのまま懐かしむのではなく、今のファッションやSNSの中に取り入れて楽しむのが特徴です。
30代・40代は「自分の記憶として懐かしい」
30代・40代にとって、平成の流行はかなり身近です。
プリクラ帳、ガラケー、着メロ、ブログ、mixi、CDショップ。
そうしたものは、学生時代や若い頃の記憶とつながっています。
若い世代が「かわいい」と言っているものを見て、「それ、普通に使ってたな」と感じることもあるはずです。
50代以上は「時代そのものを振り返れる」
50代以上にとっては、昭和から平成、令和までの変化を長く見てきた実感があります。
テレビが中心だった時代から、インターネット、スマホ、SNSへ。
音楽の聴き方も、レコード、カセット、CD、配信へと変わりました。
流行を振り返ることは、自分の人生や家族の時間を振り返ることにもつながります。
昭和・平成・令和の流行を振り返ると見えてくること
流行は、ただのブームではありません。
その時代の人が何を楽しいと思い、何に憧れ、どんなふうにつながっていたのかを映しています。
昭和には、みんなで同じものを見る楽しさがありました。
平成には、自分らしさを少しずつ表現する楽しさがありました。
令和には、過去の流行を今の感覚で組み合わせる楽しさがあります。
だから、昔の流行を振り返ることは、単なる懐古ではありません。
今の暮らしを見つめ直すきっかけにもなります。
家族や友人と話すときに、昔流行ったものをひとつ挙げてみるだけでも、意外な会話が生まれるかもしれません。
「懐かしい」と思う人がいて、
「なにそれ、かわいい」と思う人がいる。
その両方が重なるところに、昭和・平成・令和をまたぐ流行のおもしろさがあります。
出典
・内閣府「元号について」
・参議院法制局「改元とそれに伴う法律改正について」
・SHIBUYA109 lab.「SHIBUYA109 lab.変遷レポート レトロカルチャー編」
・日本インフォメーション「平成レトロに関する意識実態調査」
・ネオマーケティング「リバイバルコンテンツに関する調査」