
「群馬県では焼きそばが有名」と聞いて、どこの焼きそばを指しているのか気になった人もいるでしょう。
群馬のご当地焼きそばとして知られているのは、太田市の「上州太田焼そば」です。
濃い色のソースと太い麺を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は、すべての太田焼きそばが黒くて太麺というわけではありません。
麺の太さも、ソースの味も、具材も店によって違います。
味を一つに統一しなかったからこそ、店を巡るたびに新しい一皿と出会える。それが、太田焼きそばの大きな魅力です。
この記事では、群馬で焼きそばが有名になった理由、太田焼きそばの特徴、黒い焼きそばとの関係、初めて訪れる人に知ってほしい店を紹介します。
気になる内容からチェック
群馬の焼きそばで有名なのは「上州太田焼そば」
群馬県で有名なご当地焼きそばは、県南東部の太田市で親しまれている「上州太田焼そば」です。
一般には「太田焼きそば」と呼ばれますが、地域や団体では「上州太田焼そば」という表記も使われています。
太田市は自動車製造を中心とする工業都市です。
市内には昔から焼きそばを扱う食堂や専門店が点在し、手頃な価格でお腹を満たせる食事として、地域の人たちに親しまれてきました。
現在では、太田市を代表するご当地グルメの一つとして観光案内にも掲載されています。
ただし、横手焼きそばや富士宮やきそばのように、麺、具材、調理方法が細かく統一されているわけではありません。
店ごとの違いを残していることが、上州太田焼そばの特徴です。
太田焼きそばが有名になった3つの理由
工業都市で働く人の食事として親しまれた
太田市で焼きそばが広まった背景には、工業都市としての発展が関係しているといわれています。
市内や周辺の工場には、県内外から多くの人が働きに訪れました。
そうした人々によって焼きそばが持ち込まれ、安く、早く、ボリュームのある食事として地域に根づいたという説があります。
汁がない焼きそばは、ラーメンやうどんに比べて時間が経っても食べやすく、持ち帰りにも向いています。
忙しい仕事の合間や家庭の食事、お祭りなど、さまざまな場面で食べられる身近な料理だったことも、普及した理由の一つでしょう。
ただし、太田焼きそばの起源には複数の説があり、特定の人物や一軒の店から始まったと断定できるものではありません。
「焼きそばの街」として地域全体で発信した
太田市では、焼きそばを地域の名物として全国に発信するため、2002年に「上州太田焼そばのれん会」が発足しました。
のれん会は、焼きそばマップの作成や地域イベントへの参加などを通して、太田市を「焼きそばの街」として広めてきました。
発足当時には、秋田県横手市、静岡県富士宮市、群馬県太田市の3市が「三国同麺」として交流していた歴史もあります。
この取り組みをきっかけに、太田焼きそばは地域の日常食から、旅行者も訪れるご当地グルメへと知られるようになりました。
店ごとの違いが食べ歩く理由になった
太田焼きそばには、すべての店が守らなければならない共通レシピがありません。
麺の太さ、焼き加減、ソースの濃さ、具材、盛り付けまで、店によって大きく異なります。
濃い色のソースを使った焼きそばもあれば、一般的な茶色の焼きそばもあります。
キャベツと紅しょうがを中心にしたシンプルな一皿もあれば、じゃがいも、から揚げ、目玉焼きなどを加える店もあります。
一軒食べただけでは、太田焼きそばの全体像が分からない。
その店ごとの違いが、次の店にも行ってみたくなる理由になっています。
太田焼きそばの特徴は「決まりがないこと」
太田焼きそばについて、一般的には次のような特徴が紹介されています。
- ソースの味が比較的しっかりしている
- キャベツ、青のり、紅しょうがを使う店が多い
- 麺の太さや食感が店によって異なる
- 持ち帰りに対応する店が多い
- 価格が比較的手頃でボリュームがある
- じゃがいもやから揚げを加える店もある
ただし、これらはすべての店に共通する条件ではありません。
「太い麺でなければ太田焼きそばではない」「黒いソースでなければならない」という決まりもありません。
上州太田焼そばのれん会は、各店の味を「同じものは二つとしてない」と表現しています。
統一された味を探すのではなく、店ごとの個性を楽しむ。それが太田焼きそばらしい食べ方です。
太田焼きそばはなぜ黒いといわれる?
太田焼きそばが「黒い焼きそば」と呼ばれる理由の一つが、老舗店・岩崎屋の存在です。
岩崎屋の焼きそばは、濃いソースが絡んだ黒に近い見た目で知られています。
テレビや雑誌などで紹介される機会も多く、その印象から「太田焼きそば=黒い」と覚えている人も少なくありません。
しかし、太田市内のすべての焼きそばが同じ色をしているわけではありません。
ソースの色が薄い店もあれば、麺の太さや具材がまったく違う店もあります。
黒い焼きそばは太田を象徴する一つのスタイルですが、太田焼きそば全体を定義する条件ではないのです。
太田焼きそばと日本三大焼きそばの関係
太田焼きそばは、横手焼きそば、富士宮やきそばと並べて「日本三大焼きそば」と紹介されることがあります。
この呼び方の背景には、秋田県横手市、静岡県富士宮市、群馬県太田市が行っていた「三国同麺」の交流があります。
ただし、「日本三大焼きそば」は国や全国統一団体が正式に認定した順位ではありません。
ご当地焼きそばを盛り上げてきた3地域をまとめた、親しみやすい呼び名と考えるのがよいでしょう。
それぞれの焼きそばには、次のような違いがあります。
横手焼きそば
比較的まっすぐで柔らかな麺を使い、目玉焼きと福神漬けを添えるスタイルで知られています。
富士宮やきそば
水分の少ない弾力のある麺と、肉かす、削り粉などを使うスタイルが特徴です。
太田焼きそば
特定の麺や具材に統一せず、店ごとの作り方や味を尊重しています。
横手焼きそばや富士宮やきそばが一定の特徴を共有しているのに対し、太田焼きそばは「違いを楽しむ焼きそば」といえます。
太田焼きそばで知っておきたい3つの店
太田市には多くの焼きそば店があります。
ここでは、味やスタイルの違いが分かりやすい3店を紹介します。
営業日、営業時間、価格は変更されることがあるため、訪問前に店舗や観光案内の最新情報を確認してください。
岩崎屋|黒い焼きそばを味わいたい人へ
岩崎屋は、1957年創業の焼きそば・焼きまんじゅう店です。
濃いソースをまとった黒に近い焼きそばは、太田焼きそばを象徴する一皿として知られています。
見た目は濃厚ですが、色だけで味を想像せず、麺やソースの組み合わせを実際に確かめてみたい店です。
群馬名物の焼きまんじゅうも扱っているため、群馬の粉もの文化を一度に楽しみたい人にも向いています。
山口屋|じゃがいも入りを食べたい人へ
山口屋では、定番の焼きそばにじゃがいもを加えた「じゃが焼きそば」が人気です。
ほくほくしたじゃがいもと麺を組み合わせることで、食べ応えが増します。
焼きそばだけでなく、から揚げやもつ煮も扱っており、しっかり食事をしたい人に向いています。
テイクアウトにも対応しているため、持ち帰って食べたいときにも利用しやすい店です。
もみの木|から揚げとの組み合わせを楽しみたい人へ
もみの木は、特注の鉄板を使い、油を使わずに焼き上げる焼きそばを提供しています。
代表的なメニューの一つが、焼きそばにから揚げを組み合わせた「から揚げ焼そば」です。
もちっとした麺と、カリッとしたから揚げを一皿で楽しめます。
昔ながらのシンプルな焼きそばだけでなく、個性的な組み合わせを試したい人に向いています。
初めて太田焼きそばを食べる店の選び方
太田焼きそばは店ごとの差が大きいため、「どこが一番おいしいか」だけで選ぶ必要はありません。
自分が食べたいスタイルから店を選ぶと、失敗しにくくなります。
太田らしい黒い見た目を体験したい
濃い色のソースで知られる店を選びましょう。
写真で見た太田焼きそばの印象に近い一皿を楽しめます。
ボリュームを重視したい
じゃがいも、から揚げ、目玉焼きなどを加えられる店がおすすめです。
普通盛りでも量が多い店があるため、注文前にサイズを確認しましょう。
食べ比べをしたい
一店舗で大盛りを注文するより、小さめのサイズを扱う店を複数巡る方法があります。
ソースの濃さや麺の太さの違いが分かり、太田焼きそばの面白さを感じやすくなります。
車を使わずに巡りたい
太田駅から歩ける店もありますが、市内の店舗は広い範囲に点在しています。
徒歩だけで複数店を巡るのが難しい場合があるため、公共交通機関、レンタサイクル、タクシーなども確認しておきましょう。
太田焼きそばにじゃがいもは必須?
群馬や栃木周辺の焼きそばでは、じゃがいもを加える店があります。
太田市の山口屋でも、じゃがいも入りの焼きそばが人気です。
ただし、じゃがいもは上州太田焼そばの必須条件ではありません。
キャベツと麺を中心にしたシンプルな焼きそばも多く、店によって使う具材は異なります。
「太田焼きそばには必ずじゃがいもが入っている」と考えるのではなく、地域で親しまれているアレンジの一つと捉えるのが自然です。
自宅で太田焼きそば風に作る方法
太田焼きそばには統一レシピがないため、家庭でも好みに合わせて作れます。
基本の材料は次のとおりです。
材料の例
- 焼きそば用の蒸し麺
- キャベツ
- 豚肉
- ウスターソースまたは中濃ソース
- 青のり
- 紅しょうが
- 好みでじゃがいもや目玉焼き
濃い見た目に仕上げたい場合は、ソースを一度に大量に入れるのではなく、少量ずつ加えて麺になじませます。
じゃがいもを入れる場合は、あらかじめ電子レンジや下ゆでで火を通しておくと、麺と一緒に炒めやすくなります。
ただし、家庭で作るものは特定店舗の味を再現したものではなく、あくまで「太田焼きそば風」です。
本場では店ごとに味が違うため、現地を訪れた際には家庭の焼きそばとの違いも楽しんでみてください。
太田焼きそばについてよくある疑問
群馬県全体で焼きそばが有名なのですか?
群馬県全域に同じ焼きそば文化があるというより、太田市の「上州太田焼そば」がご当地グルメとして有名です。
太田焼きそばは必ず黒いのですか?
必ず黒いわけではありません。濃いソースを使う店が注目されていますが、色や味は店によって異なります。
麺は必ず太麺ですか?
麺の太さにも統一された決まりはありません。太めの麺を使う店もありますが、店ごとの違いがあります。
太田焼きそばの正式なレシピはありますか?
すべての店に共通する一つの公式レシピはありません。各店が独自のソースや調理方法を受け継いでいます。
一店舗だけ行くならどこがよいですか?
黒い焼きそばを体験したい、じゃがいも入りを食べたい、から揚げと一緒に楽しみたいなど、目的によって適した店が変わります。
口コミの点数だけでなく、食べたいスタイルで選ぶのがおすすめです。
太田焼きそばは「同じ味がない」から面白い
太田焼きそばの魅力は、黒い色や太い麺だけではありません。
店によってソース、麺、具材、焼き方が異なり、一皿ごとに作り手の個性があります。
統一された正解がないからこそ、一軒食べると、別の店の味も確かめたくなるのです。
群馬県太田市を訪れた際は、有名店を一軒だけ選ぶのではなく、時間が許せば違うスタイルの店を食べ比べてみてください。
「太田焼きそばはこんな味」と一言では決められないことこそ、この街の焼きそばが長く愛されてきた理由なのかもしれません。

出典
- 太田市観光物産協会
- 上州太田焼そばのれん会
- 岩崎屋公式ホームページ
- JR東日本「and trip.」









