
丸い揚げパンから、つややかなクリームが少しだけ顔をのぞかせる「ボンボローニ」。
見た目はクリームドーナツにそっくりで、生ドーナツとして販売されていることもあります。
「名前を変えただけでは?」「マリトッツォとは何が違うの?」と感じるのも無理はありません。
ボンボローニは、甘い発酵生地を丸く揚げ、中にカスタードクリームやジャムなどを詰めたイタリアのお菓子です。広い意味ではクリームドーナツの仲間ですが、名前の背景や本場での親しまれ方に、ボンボローニらしさがあります。
ボンボローニとはどんなお菓子?
ボンボローニは、発酵させた甘い生地を油で揚げ、砂糖をまぶして、中にクリームやジャムを詰めたイタリアのドーナツです。
イタリアでは、朝食やおやつとしてコーヒーと一緒に食べられています。
日本ではカスタードクリームやホイップクリームをたっぷり詰めたものが目立ちますが、チョコレートクリーム、ピスタチオクリーム、ヘーゼルナッツクリーム、ジャムなど、中身は一つに決まっていません。
| 項目 | ボンボローニの特徴 |
|---|---|
| 生地 | イーストなどで発酵させた甘い生地 |
| 調理方法 | 丸く成形して油で揚げる |
| 仕上げ | グラニュー糖や粉砂糖をまぶす |
| 中身 | カスタード、チョコ、ジャムなど |
| 食感 | 外は香ばしく、中はふんわり |
| 食べ方 | 朝食やおやつとしてコーヒーと合わせる |
焼き菓子ではなく、生地を揚げて作るのが基本です。
表面にまとった砂糖の軽い歯触りと、ふんわりした生地、なめらかなクリームが一度に口へ入るところに、ボンボローニのおいしさがあります。
ボンボローニとクリームドーナツの違い
ボンボローニはクリームドーナツの一種
結論からいうと、ボンボローニは広い意味でクリームドーナツの一種です。
「クリームドーナツ」は、中にクリームを詰めたドーナツ全般を表す言葉です。一方の「ボンボローニ」は、イタリアで親しまれてきた特定の菓子を指します。
そのため、両者をまったく別のお菓子として分けるよりも、次のように考えると分かりやすくなります。
クリームドーナツという大きな分類の中に、イタリアのボンボローニがある。
日本のカレーとインドカレーが同じ「カレー」の仲間でありながら、味や作り方、文化的な背景が異なるのと似ています。
クリームを入れる穴の位置は決定的な違いではない
ボンボローニは上からクリームを入れ、一般的なクリームドーナツは横から入れると説明されることがあります。
実際に、上部からクリームを絞り、注入口からクリームが見える商品は多くあります。しかし、穴の位置だけでボンボローニかどうかが決まるわけではありません。
横や底面からクリームを入れるものもあり、店や作り方によって仕上げ方は変わります。
穴の位置よりも、発酵させた甘い生地を揚げ、砂糖をまとわせ、クリームやジャムを詰めるという全体像を見る方が自然です。
クリームドーナツにも発酵生地は使われる
「ボンボローニは長時間発酵させるが、クリームドーナツは発酵させない」という明確な区別もありません。
ドーナツには、イーストで発酵させるパンに近いタイプと、ベーキングパウダーなどで膨らませるケーキに近いタイプがあります。
日本で販売されているクリームドーナツにも、イーストで発酵させた生地は広く使われています。
| 比較項目 | ボンボローニ | クリームドーナツ |
|---|---|---|
| 言葉の意味 | イタリアの菓子名 | クリーム入りドーナツの総称 |
| 生地 | 発酵生地が基本 | 発酵生地など商品によって異なる |
| 中身 | カスタード、ジャム、チョコなど | ホイップ、カスタードなどさまざま |
| 砂糖 | 表面にまぶすことが多い | 商品によって異なる |
| 注入口 | 上・横・底など | 上・横・底など |
| 明確な境界 | 伝統や地域性を含む | 広い商品カテゴリー |
ボンボローニと生ドーナツの違い
ボンボローニは「イタリアの生ドーナツ」と紹介されることがあります。
丸くてやわらかな生地にクリームを詰める点では、現在の日本で人気を集めている生ドーナツとよく似ています。
ただし、ボンボローニと生ドーナツは完全な同義語ではありません。
生ドーナツには統一された定義がない
現在の日本でいう生ドーナツは、生地が生焼けという意味ではありません。
一般的には、次のような特徴を持つ商品に使われています。
- 口に入れるとほどけるような、やわらかい生地
- 水分量の多い、しっとりした食感
- 生クリームなどを生地に練り込んだもの
- 中にクリームをたっぷり詰めたもの
- 生菓子のような口溶けを意識したもの
ただし、すべての生ドーナツに共通する厳密な製法上の基準があるわけではありません。
店によって、材料も発酵方法も揚げ方も異なります。
重なる部分はあるが、基準が違う
ボンボローニは、イタリアで受け継がれてきた菓子の名前です。
生ドーナツは、日本で食感や商品の印象を伝えるために使われている呼び名です。
| 比較項目 | ボンボローニ | 生ドーナツ |
|---|---|---|
| 基準 | イタリア菓子としての名称 | 食感や商品のイメージ |
| 主な形 | 丸型 | 丸型が多い |
| クリーム | 入るものが多い | 入るものと入らないものがある |
| 生地 | 甘い発酵生地 | 店ごとに材料や製法が異なる |
| 厳密な定義 | 菓子としての基本形がある | 統一された定義はない |
| 関係 | 生ドーナツとして売られる場合がある | すべてがボンボローニではない |
ボンボローニを日本向けにアレンジし、「生ドーナツ」として販売する店もあります。
そのため、両者は重なる部分を持ちながら、同じ基準で名付けられたものではないと考えるとよいでしょう。
ボンボローニとマリトッツォの違い
ボンボローニと同じく、イタリア生まれのクリーム系スイーツとして知られているのがマリトッツォです。
どちらも丸いパン生地とたっぷりのクリームを組み合わせていますが、作り方は大きく異なります。
| 比較項目 | ボンボローニ | マリトッツォ |
|---|---|---|
| 生地 | 発酵させたドーナツ生地 | ブリオッシュに近いパン生地 |
| 加熱方法 | 油で揚げる | オーブンで焼く |
| クリームの入れ方 | 生地の中へ注入する | 切り込みを入れて挟む |
| 定番の中身 | カスタード、ジャムなど | 生クリーム |
| 表面 | 砂糖をまぶすことが多い | 粉砂糖をかけることがある |
| 味わい | 揚げ生地の香ばしさとコク | パンと生クリームの軽やかさ |
マリトッツォは、焼いたパンに切り込みを入れ、外から見えるほど生クリームを挟むスタイルです。
ボンボローニは、揚げた生地の中へクリームを注入します。
クリームの量だけを見ると似ていますが、揚げるか焼くかによって、香りも口当たりも食べ応えも変わります。
ボンボローニの名前の由来
イタリア語では、1個の場合は「ボンボローネ」、複数になると「ボンボローニ」と呼びます。
- 単数形:Bombolone(ボンボローネ)
- 複数形:Bomboloni(ボンボローニ)
日本では、個数にかかわらず「ボンボローニ」という名前が一般的に使われています。
「ボンボローネ」という言葉は、イタリア語で爆弾を意味する「bomba」に関係するとされています。
砂糖をまとった丸く膨らんだ姿が、小さな爆弾のように見えることが名前の背景です。
かわいらしい見た目からは少し意外ですが、クリームがたっぷり詰まった満足感まで含めると、なかなか似合う名前にも思えてきます。
ボンボローニのルーツはクラップフェン?
ボンボローニのルーツとしてよく挙げられるのが、ドイツやオーストリアなどで親しまれている「クラップフェン」です。
クラップフェンも、発酵させた甘い生地を丸く揚げ、中にジャムやクリームを詰めるお菓子です。
ヨーロッパには、これとよく似た揚げ菓子が各地にあります。
- ドイツやオーストリアのクラップフェン
- ドイツのベルリーナー
- ポーランドのポンチキ
- イタリアのボンボローニ
国や地域によって名前や中身、表面の仕上げは異なりますが、「丸い発酵生地を揚げ、甘いものを詰める」という発想は共通しています。
ボンボローニだけが突然生まれたというよりも、ヨーロッパ各地の食文化が影響し合う中で、イタリアらしい形へ育っていったお菓子と考えられます。
ボンボローニには何が入っている?
日本ではカスタードクリームが定番として紹介されることが多いものの、中身はカスタードだけではありません。
カスタードクリーム
卵と牛乳のコクが、香ばしい揚げ生地によく合う王道の組み合わせです。
バニラやレモンの香りを加えると、濃厚なクリームにも軽さが生まれます。
チョコレートクリーム
甘さとコクをしっかり味わいたい人に合う組み合わせです。
ヘーゼルナッツを合わせたクリームが使われることもあります。
ピスタチオクリーム
ピスタチオの香ばしさと、鮮やかな緑色を楽しめます。
イタリア菓子らしい雰囲気が伝わりやすく、日本の専門店でも見かける味です。
ジャム
アプリコットやベリー系のジャムを詰めると、クリーム入りよりも酸味が際立ちます。
クラップフェンなど、ヨーロッパの似た揚げ菓子でもジャムは定番です。
生クリーム
日本では、ホイップクリームやカスタードホイップをたっぷり入れた商品も販売されています。
伝統的な作り方をそのまま再現するというより、日本で好まれるふわとろ食感へ寄せたアレンジといえるでしょう。
ボンボローニのカロリーは高い?
ボンボローニのカロリーは、大きさ、生地の配合、吸収した油の量、クリームの種類と量によって変わります。
そのため、「ボンボローニは必ず1個何kcal」と一つの数字で表すことはできません。
過去にコンビニや量販店で販売された商品には、1個当たり約328~398kcalのものがありました。
ただし、これは当時販売されていた特定商品の数字であり、すべてのボンボローニに当てはまるものではありません。
カロリーが高くなりやすい理由
ボンボローニは、次の要素が重なるため、一般的にカロリーが高くなりやすいスイーツです。
- 小麦粉や砂糖、バターなどを使った生地
- 油で揚げる工程
- 表面にまぶす砂糖
- 中に詰めるカスタードや生クリーム
小さく見えても、揚げ生地とクリームが合わさっているため、食べ応えがあります。
カロリーが気になる場合は、商品の栄養成分表示を確認するのが最も確実です。
我慢するより、ひとつをゆっくり味わう
カロリーが高いからといって、食べてはいけないお菓子になるわけではありません。
食べる日は間食を重ねすぎない、飲み物は無糖のコーヒーや紅茶にする、大きなものは誰かと分けるなど、無理のない調整ができます。
ふわふわの生地とクリームを楽しむためのお菓子だからこそ、数字だけを気にして急いで食べるより、ひとつをゆっくり味わう方が満足しやすいでしょう。
ボンボローニはどこで買える?
ボンボローニは、イタリア菓子店、ベーカリー、ドーナツ専門店、百貨店の催事などで販売されることがあります。
日本では「ボンボローニ」ではなく、次のような名前で販売されている場合もあります。
- 生ドーナツ
- イタリアンドーナツ
- クリームドーナツ
- カスタードドーナツ
- クリームボンボローニ
店頭で探すときは、商品名だけでなく、丸い揚げ生地にクリームを詰めた商品がないかを見てみると見つけやすくなります。
通販では冷凍商品もありますが、販売状況や送料、保存方法は商品ごとに異なります。購入時は公式の商品説明を確認してください。
ボンボローニのおいしい食べ方
ボンボローニは、揚げた生地のやわらかさを感じられるうちに食べるのが向いています。
本場の雰囲気を楽しみたいなら、エスプレッソやカプチーノ、苦味のあるコーヒーを合わせてみましょう。
クリームと砂糖の甘さを、コーヒーの苦味が引き締めてくれます。
紅茶なら、香りが強すぎないストレートティーが合わせやすいでしょう。
クリーム入りの商品は常温保存に向かない場合があります。購入した店や商品の保存方法、消費期限に従ってください。
ボンボローニに関するよくある疑問
ボンボローニは普通のドーナツと同じ?
ドーナツの一種ですが、イタリアで親しまれてきた名前とスタイルがあります。
発酵させた甘い生地を丸く揚げ、砂糖をまぶし、中にクリームやジャムを詰めるのが基本です。
ボンボローニには必ずクリームが入っている?
クリーム入りが広く知られていますが、ジャムを詰めたものや、中身を入れず砂糖だけで仕上げたものもあります。
店や地域によって形は異なります。
ボンボローニは生ドーナツなの?
生ドーナツとして販売されるボンボローニはあります。
ただし、生ドーナツにはさまざまなタイプがあり、すべてがボンボローニというわけではありません。
ミスタードーナツのエンゼルクリームと同じ?
どちらも発酵生地を揚げてクリームを詰めたドーナツなので、よく似た仲間です。
ただし、商品独自の生地やクリーム、仕上げがあるため、まったく同じ商品ではありません。
クリームを入れる穴の位置だけで、両者を区別することもできません。
ボンボローニはイタリア語でどう発音する?
1個ならボンボローネ、複数ならボンボローニです。
日本では、1個の商品でもボンボローニと呼ばれるのが一般的です。
名前を知ると、ただのクリームドーナツではなくなる
ボンボローニを見て、「クリームドーナツと同じでは?」と思う感覚は、決して間違いではありません。
実際にボンボローニは、クリームドーナツの仲間です。
それでも、イタリアの朝にコーヒーと一緒に食べられてきたことや、爆弾を思わせる名前の由来を知ると、丸いドーナツの見え方が少し変わります。
生ドーナツとも、マリトッツォとも重なる部分はありながら、完全には同じではない。
表面の砂糖、生地の香ばしさ、詰めたてのクリーム。その全部がひと口に重なるところに、ボンボローニらしい楽しさがあります。
出典
- Treccani「Bombolone」
- Treccani「Krapfen」
- クラシル「ふわふわ食感がおいしすぎる『ボンボローニ』とは?」
- DELISH KITCHEN「ボンボローニとはどんなお菓子?」
- 月島食品工業「冷やしておいしいドーナツ!『ボンボローニ』のレシピ」
- cotta「ボンボローニのレシピ・作り方」
- cotta「生ドーナツとは?ふわもち食感がクセになる話題の新感覚スイーツ」
- macaroni「生ドーナツとは?普通のドーナツとの違いって?」









