
目が覚めた瞬間から頭が重い。口は乾き、胃はむかむかして、昨夜の自分を少し責めたくなる。
そんな朝は、すぐにでも体を元に戻したくなります。しかし、二日酔いを一瞬で治す方法や、アルコールの分解を急に早める食べ物・飲み物は確認されていません。
今できるのは、水分を少しずつ取り、体を休ませ、胃や肝臓に余計な負担をかけないことです。
無理にいつもの一日を取り戻そうとせず、まずは体が回復する時間をつくりましょう。
気になる内容からチェック
二日酔いを早く治す「特効薬」はない
二日酔いは、アルコールを飲みすぎた翌日に現れる頭痛、吐き気、だるさ、口の渇き、胃の不快感、めまいなどの症状です。
「アセトアルデヒドが残っているから」と説明されることがありますが、原因は一つではありません。
二日酔いには複数の要因が関係する
二日酔いには、次のような要因が重なっていると考えられています。
- 排尿が増えることによる軽度の脱水
- 眠りが浅くなり、途中で目が覚めることによる睡眠不足
- アルコールによる胃の粘膜への刺激
- 体内の炎症反応
- アルコールを分解する過程で生じるアセトアルデヒド
- 酔いが覚める過程で起こる不安感や落ち着かなさ
そのため、水を一杯飲んだり、特定の食べ物を口にしたりするだけで、すべての症状が消えるわけではありません。
症状が24時間以上続くこともある
二日酔いは、血中アルコール濃度がおおよそゼロに戻る頃に強く感じられることがあります。
多くの場合は時間とともに軽くなりますが、症状が24時間以上続く人もいます。
まだアルコールが残っている可能性や、注意力・判断力が低下している可能性もあるため、頭痛やふらつきがある状態で車を運転したり、危険な機械を扱ったりしないでください。
つらい朝に、まずできること
「何かしなければ」と焦るより、体の状態に合わせて一つずつ対処する方が安全です。
水分は一度に飲まず、少しずつ取る
口が乾いていても、大量の水を一気に飲むと、吐き気が強くなることがあります。
水や白湯などを、少量ずつ時間を空けながら飲んでみてください。
スポーツドリンクも水分を取りやすくする選択肢にはなりますが、飲めばアルコールの分解が速くなったり、二日酔いが必ず軽くなったりするものではありません。
糖分や塩分を多く含む商品もあるため、水代わりに大量に飲む必要はありません。
吐き続けて水分を保てない場合は、自宅で我慢せず、医療機関への相談を考えてください。
食べられるなら、胃に負担の少ないものから
二日酔いを治す特別な食べ物は確認されていません。
ただし、空腹感があり、吐き気が落ち着いているなら、食べやすいものを少量取ることで体力を保ちやすくなります。
候補になるのは、おかゆ、やわらかいうどん、スープ、味噌汁、バナナ、豆腐などです。
脂っこい料理、香辛料の強い料理、量の多い食事は、胃の不快感を強くすることがあります。食欲がないときは、無理に食べなくても構いません。
横になり、予定を減らす
二日酔いのだるさには、睡眠の質が乱れていることも関係しています。
可能であれば予定を減らし、静かな場所で体を休ませましょう。
ふらつきやめまいがあるときの熱い入浴、サウナ、激しい運動は、転倒や体調悪化につながるおそれがあります。
シャワーを浴びる場合も、立っているのがつらいほどの症状があるなら無理をしないでください。
頭痛薬は成分を確認せずに飲まない
二日酔いの頭痛がつらくても、飲酒後に市販の鎮痛薬を自己判断で重ねるのは注意が必要です。
アセトアミノフェンを含む薬は肝臓への負担に注意が必要で、アスピリンやイブプロフェンなどは胃を刺激することがあります。
飲酒量が多かった場合、まだアルコールが残っている場合、肝臓病や胃腸の病気がある場合、ほかの薬を服用している場合は、薬剤師や医師に確認してください。
商品の添付文書に「服用前後は飲酒しない」などの注意が書かれている場合は、必ず従いましょう。
コーヒー・シャワー・迎え酒で治るわけではない
二日酔いの朝に試されやすい方法の中には、一時的に気分が変わっても、回復を早めないものがあります。
コーヒーは眠気覚ましにはなっても治療にはならない
コーヒーを飲むと目が覚めたように感じることがあります。
しかし、カフェインによってアルコールの分解が速くなるわけではなく、二日酔いそのものを治す効果は確認されていません。
胃がむかついているときは、コーヒーで不快感が強くなることもあります。普段から飲んでいる人でも、体調を見ながら少量にとどめましょう。
シャワーを浴びてもアルコールは早く抜けない
顔を洗ったりシャワーを浴びたりすると、気分はすっきりするかもしれません。
それでも、体内のアルコールや代謝物が早く処理されるわけではありません。
「目が覚めたから運転できる」と判断しないことが大切です。
迎え酒は回復を先延ばしにする
翌朝にもう一度お酒を飲むと、不快感が一時的に鈍くなることがあります。
これは二日酔いが治ったのではなく、アルコールの作用によって症状を感じにくくなっている可能性があります。
新たなアルコールを追加すれば、体が処理する量が増え、回復が遅れることがあります。迎え酒は避けてください。
二日酔いではなく、救急対応が必要なこともある
大量に飲んだ直後や、酔いつぶれている人がいる場合は、「寝かせておけば大丈夫」と決めつけないでください。
次のような状態が見られるときは、急性アルコール中毒の可能性があります。
- 揺すったり呼びかけたりしても反応しない
- 呼吸が不規則、弱い、または止まりそう
- 大いびきをかき、刺激にも反応しない
- 体が冷たくなっている
- 口から泡を吐いている
- 意識が低下したまま何度も吐いている
このような場合は、すぐに119番へ連絡してください。
救急車を待つ間は一人にせず、衣服を緩め、吐いたものを詰まらせないよう横向きに寝かせます。意識が低下している人を無理に立たせたり、水を飲ませたり、吐かせたりしてはいけません。
次の日に残しにくくする飲み方
二日酔いを確実に避ける方法は、飲まないこと、または飲酒量を少なくすることです。
お酒を飲む日は、始まってから調整するのではなく、飲む前に上限を決めておきましょう。
飲む量を純アルコール量で考える
同じ「一杯」でも、量やアルコール度数によって体に入るアルコール量は変わります。
純アルコール量は、次の式で計算できます。
飲んだ量(ml)×アルコール度数÷100×0.8
代表的なお酒の目安は次のとおりです。
| お酒 | 飲酒量・度数 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
| ビール | 500ml・5% | 約20g |
| チューハイ | 350ml・7% | 約20g |
| ワイン | 120ml・12% | 約12g |
これらは計算上の目安であり、「ここまでなら安全」という許容量ではありません。
厚生労働省は、1回の飲酒機会で純アルコール60g以上を取る一時多量飲酒は避けるべきとしています。
ビール500ml・5%なら3本で約60gです。ただし、体質や体調によっては、それより少ない量でも強く酔ったり、二日酔いになったりします。
飲酒前か飲酒中に食事を取る
空腹のまま飲み始めると、血中アルコール濃度が上がりやすくなります。
飲む前に食事を済ませるか、お酒と一緒に食事を取りましょう。
特別な「二日酔い予防食」を探す必要はありません。食事を抜かず、お酒だけを続けて飲まないことの方が大切です。
お酒の合間に水や炭酸水を挟む
お酒を一杯飲んだら、次は水や炭酸水、ノンアルコール飲料を選ぶなど、飲酒のペースを落としましょう。
水がアルコールを直接分解するわけではありませんが、飲む速度を落とし、結果として純アルコールの摂取量を減らしやすくなります。
最初から水を手元に置いておくと、周囲のペースに流されにくくなります。
顔の赤みや動悸、吐き気を無視しない
少量のお酒で顔が赤くなる、動悸がする、吐き気が出る人は、アルコールを分解する酵素の働きが弱い可能性があります。
「飲み続ければ強くなる」と考えず、その時点で飲酒を止めてください。
寝不足、疲労、空腹、体調不良、服薬中の日も、普段よりアルコールの影響が強く出ることがあります。
二日酔いについてよくある疑問
お酒をちゃんぽんすると二日酔いになりやすい?
ビール、ワイン、焼酎などを混ぜること自体が、二日酔いの直接的な原因になるとは限りません。
問題になりやすいのは、種類を変えるうちに飲んだ量が分からなくなり、純アルコールの総量や飲む速度が増えてしまうことです。
銘柄や杯数ではなく、最終的にどれほどのアルコールを飲んだかを意識しましょう。
スポーツドリンクを飲めば早く治る?
スポーツドリンクは、水分を取りやすくする飲み物の一つです。
ただし、含まれる電解質によって二日酔いの重症度が軽くなるかどうかは、はっきり確認されていません。アルコールの分解を速める飲み物でもありません。
飲みやすいと感じるなら少量ずつ利用し、糖分や塩分の取りすぎには注意してください。
二日酔いなら仕事や運転をしても大丈夫?
二日酔いの状態では、注意力、判断力、体の協調性が低下していることがあります。
血中アルコール濃度が下がっていても、頭痛、眠気、めまい、吐き気がある状態で運転や危険な作業を行うのは避けてください。
アルコールが残っているか自分の感覚だけで正確に判断することはできません。
今朝は無理に取り戻さず、次の一杯を軽くする
二日酔いをすぐに消してくれる飲み物や食べ物はありません。
今朝できるのは、水分を少しずつ取り、食べられるものを無理なく口にし、体が回復するまで休むことです。
迎え酒や無理な運動でごまかさず、強い症状があるときは医療機関に相談してください。
そして次に飲む日は、最初の一杯を持つ前に、どこで止めるかを決めておく。
翌朝を少し楽にする一番確かな準備は、飲み始める前にあります。