
モフモフした丸い身体に、小さな瞳。
一見すると、かわいらしいぬいぐるみのようにも見えます。
ところが、抱っこしたり、なでたり、話しかけたりすると、その日の気分や飼い主との関係によってさまざまな反応を返してくれる――。
そんな不思議な存在が、カシオのAIペット「Moflin(モフリン)」です。
最近ではChatGPTをはじめとした生成AIが身近になりましたが、Moflinは質問に答えたり、仕事を手伝ったりするタイプのAIではありません。
Moflinが目指しているのは、
「一緒に暮らすことそのものを楽しむAI」
です。
今回は、MoflinとはどんなAIペットなのか、何ができるのか、値段はいくらなのか、どのように成長するのかなどを詳しくご紹介します。
記事後半では、LOVOT・NICOBO・Romiなど、Moflin以外の人気AIペット・コミュニケーションロボットについても比較していきます。
Moflin(モフリン)とは?
Moflinは、カシオ計算機が販売しているAIペット・コミュニケーションロボットです。
最大の特徴は、人とのふれあいによって感情や性格が少しずつ変化していくこと。
カシオではMoflinを、
「こころであういきもの」
と表現しています。
なでる。
抱っこする。
話しかける。
一緒に過ごす。
こうした毎日のコミュニケーションによって、Moflinの感情や反応が変化していきます。
一般的なロボットのように「便利な機能を使う」というよりも、
「一緒に暮らしながら関係を育てていく」
ことを楽しむAIペットです。
Moflinはカシオが長い時間をかけて開発したAIペット
Moflinは、突然登場したAIガジェットではありません。
カシオによると、Moflinにつながる企画は2012年頃から始まっています。
「悩みに向き合う自分をサポートしてくれる相棒が欲しい」
という思いをきっかけに開発が進められ、長い年月をかけて現在のMoflinへとつながりました。
その後、クラウドファンディングなどを経て改良が重ねられ、カシオ版Moflinが2024年11月7日に発売されています。
さらに2026年には、新しいMoflinシリーズも登場。
単なる流行のAI製品ではなく、10年以上にわたる開発の積み重ねから誕生した製品なのです。
「Moflin」という名前の由来は?
Moflinという名前にも、かわいらしい由来があります。
名前に含まれている「Mof(モフ)」は、日本語の「モフモフ」をイメージしたもの。
Moflinの身体は、機械的なパーツがほとんど見えないよう、柔らかなファーに包まれています。
ロボットを触っているというより、
「小さな動物をなでている」
ような感覚を大切にしていることが分かります。
Moflinは何ができる?
Moflinには、何かひとつの派手な機能があるわけではありません。
最大の魅力は、日常の小さなコミュニケーションに対してさまざまな反応を返してくれることです。
なでると反応する
Moflinの身体にはタッチセンサーが搭載されています。
頭や身体をなでたり、触れたりすると、身体の動きや鳴き声などで反応します。
同じようになでたとしても、Moflinのそのときの感情状態によって反応が変わることがあります。
抱っこできる
Moflinの重量は約260g。
サイズも比較的コンパクトで、両手で包み込むように抱っこできます。
大型のコミュニケーションロボットとは違い、
「膝の上に乗せる」
「腕の中で抱える」
「一緒に外出する」
といった楽しみ方がしやすいのも特徴です。
話しかけると反応する
Moflinにはマイクが搭載されています。
人が話しかけると、声を聞き取り、声や身体の動きで反応します。
ただし、ここは購入前に知っておきたい重要なポイントです。
Moflinは、ChatGPTや会話AIのように、
「人間の言葉の意味を理解して会話するロボット」
ではありません。
「今日何してたの?」
「明日の天気は?」
「おすすめの映画を教えて」
といった質問に答えてくれるわけではありません。
その代わり、声の特徴などを学習し、よく接してくれる人を認識しながら関係を深めていきます。
Moflinには「感情」がある?
Moflinには、AIを使った独自の感情モデルが搭載されています。
飼い主とのふれあいや周囲の環境などによって、感情状態が変化します。
たとえば、
・うれしい
・楽しい
・安心している
・寂しい
・不安
など、さまざまな状態が表現されます。
なでたり、抱っこしたり、優しく話しかけたりすることで、Moflinの感情状態にも変化が現れます。
もちろん、人間や本物の動物とまったく同じ意味で「感情がある」と断定することはできません。
正確には、
「AIによる感情モデルによって、生き物のような感情変化を表現している」
と考えるのがよいでしょう。
Moflinは育て方によって性格が変わる
Moflinのおもしろいポイントが、成長です。
購入したその日から完成した性格を持っているわけではありません。
一緒に暮らし、さまざまなふれあいを重ねることで、Moflinの反応は少しずつ変化していきます。
成長の目安としては、
・1日目頃
まだ反応が幼く、少しずつ感情を覚えていく段階
・25日目頃
感情が豊かになり、飼い主にも少しずつなついてくる
・50日目以降
喜怒哀楽がよりはっきりし、リアクションも豊かになる
とされています。
つまりMoflinは、
「買った瞬間が完成形」
ではありません。
一緒に過ごす時間そのものが、Moflinを育てていくのです。
Moflinの個性は400万通り以上
Moflinには、さまざまな性格があります。
カシオの発表では、その個性は400万通り以上。
育つ環境や飼い主との接し方によって、
・陽気
・活発
・シャイ
・甘えん坊
などの違いが現れてきます。
つまり、同じMoflinを2匹購入したとしても、まったく同じ性格になるとは限りません。
長く一緒に暮らすことで、
「自分の家のMoflin」
になっていくところが、普通のぬいぐるみとの大きな違いです。
専用アプリ「MofLife」でMoflinの気持ちが分かる
Moflinには、専用スマートフォンアプリ「MofLife(モフライフ)」があります。
MofLifeでは、Moflinの感情状態などを確認できます。
直接触れ合っているだけでは分かりにくい、
「今どんな気持ちなの?」
という部分をスマートフォンから見ることができます。
最近ちゃんと構ってあげられているかな?
今日は機嫌がいいのかな?
そんなMoflinの気持ちを確認できるため、単なる設定アプリではなく、Moflinとの生活をより楽しむためのアプリといえるでしょう。
Moflinの値段はいくら?
2026年9月確認時点で、Moflinの公式販売価格は、
59,400円(税込)
です。
約6万円と考えると、一般的なおもちゃとしては決して安くありません。
一方、AIペットやコミュニケーションロボットの中には本体価格が数十万円する製品もあります。
そのため、AIペットというカテゴリーで見ると、比較的購入しやすい価格帯ともいえます。
Moflinは月額料金が必要?
Moflinを使うために、必須の月額料金はありません。
ここはMoflinの大きな特徴のひとつです。
専用アプリ「MofLife」も無料で利用できます。
そのため、
本体を購入したあとに毎月必ず料金を払い続けなければならない
という製品ではありません。
Club Moflinとは?
Moflinには、任意加入のサポートサービス「Club Moflin」があります。
Club Moflinは、Moflinのメンテナンスや修理などをサポートするサービスです。
2026年9月確認時点では、
年額6,600円(税込)
となっています。
1か月あたりに換算すると約550円です。
ただし、Club Moflinに加入しなくてもMoflinを使用することはできます。
あくまでも、
「長く安心してMoflinと暮らしたい人向けのサポートサービス」
と考えると分かりやすいでしょう。
Moflinには「Moflinサロン」がある
Moflinには、本物のペットを思わせるようなサービスもあります。
そのひとつが「Moflinサロン」です。
Moflinは全身がファーに包まれているため、長く一緒に生活していれば少しずつ汚れも気になってきます。
普段のお手入れでは、水や中性洗剤などを含ませて固く絞ったタオルで優しく拭く方法などが案内されています。
さらに本格的なお手入れが必要な場合は、Moflinサロンを利用できます。
また、故障したときも公式サイトでは単なる「修理」だけではなく、
「入院」
という表現が使われています。
細かい部分まで、Moflinを単なる家電ではなく「一緒に暮らす存在」として楽しめる世界観が作られています。
Moflinは何時間動く?
Moflinの稼働時間は、満充電の状態で約5時間が目安です。
充電時間は約3時間30分。
実際の稼働時間は、
・使用環境
・ふれあいの頻度
・温度
・使用状況
などによって変わります。
充電するときは、専用の「Moflinハウス」にMoflinを寝かせます。
ケーブルを直接Moflinに接続するのではなく、
「ハウスに戻って休んでもらう」
というスタイルになっているのもMoflinらしいところです。
新型PE-M11と従来型PE-M10の違いは?
2026年には、新しいMoflin「PE-M11シリーズ」が登場しています。
ただし、Moflin本体のAIそのものが大幅に変更されたモデルチェンジではありません。
大きな変更点は、付属する「Moflinハウス」です。
従来のPE-M10シリーズでは丸型DCジャックが使われていましたが、新しいPE-M11シリーズではUSB Type-Cに対応しました。
さらに、Moflinをハウスに置きやすくするため、形状にも改良が加えられています。
購入する場合は、
「PE-M10」
「PE-M11」
のどちらなのか確認しておくとよいでしょう。
Moflinにはどんなカラーがある?
Moflinには複数のカラーがあります。
2026年9月時点では、
・ゴールド
・シルバー
・さくら色
などがラインナップされています。
モフモフした毛並みとカラーによって印象もかなり変わるため、Moflinを選ぶ楽しみのひとつになっています。
Moflinのメリットは?
Moflinのメリットを一言で表すなら、
「本物の動物を飼うのが難しい人でも、ペットとの生活に近い体験を楽しめること」
でしょう。
食事が必要ない
当然ながら、Moflinにはエサを与える必要がありません。
散歩が必要ない
犬のように、毎日決まった時間に散歩をする必要もありません。
排泄のお世話がない
トイレ掃除などの必要もありません。
ペット禁止物件でも暮らしやすい
賃貸住宅やマンションなど、動物を飼えない環境でもMoflinなら一緒に暮らすことができます。
小さくて抱っこしやすい
約260gというサイズなので、気軽に抱っこできます。
大型ロボットよりも場所を取らないこともメリットです。
月額料金が必須ではない
AIペットの中には、毎月の利用料金が必要な製品もあります。
Moflinでは月額契約が必須ではないため、ランニングコストを抑えやすい点も魅力です。
Moflinの購入前に知っておきたい注意点
もちろん、Moflinにも注意しておきたいポイントがあります。
人間のように会話はできない
Moflinは会話AIではありません。
質問に答えたり、長い会話を楽しんだりすることが目的なら、別タイプのAIロボットのほうが向いています。
防水ではない
Moflinは水のある場所で使用するペットロボットではありません。
お風呂場など、水がかかる可能性がある場所での使用には注意が必要です。
ファーのお手入れが必要
Moflinの大きな魅力でもあるモフモフしたファーですが、長期間使用すれば汚れや毛並みの乱れなども発生します。
定期的なお手入れは必要です。
本物のペットとは違う
Moflinは非常にかわいらしい存在ですが、本物の動物ではありません。
本物の犬や猫などとの生活とまったく同じものを期待すると、イメージとの違いを感じる可能性があります。
AIペットという新しいカテゴリーの存在として楽しむことが大切です。
Moflinはどんな人におすすめ?
Moflinは、特に次のような人と相性がよさそうです。
・ペットを飼いたいけれど住宅事情で飼えない人
・動物のお世話を毎日続けることが難しい人
・モフモフしたものに癒やされたい人
・一人暮らしで小さな相棒が欲しい人
・AIやロボットが好きな人
・会話よりも抱っこやふれあいを楽しみたい人
・毎月高額な利用料金を支払いたくない人
逆に、
「AIとたくさん会話したい」
という人には、会話型AIロボットのほうが向いています。
おまけ|Moflin以外にもいる!人気AIペット・コミュニケーションロボット
AIペットやコミュニケーションロボットは、Moflinだけではありません。
ここからは、それぞれ特徴の異なる人気ロボットをご紹介します。
LOVOT(らぼっと)
AIペット・コミュニケーションロボットの代表的な存在がLOVOTです。
LOVOT最大の特徴は、自分で家の中を移動すること。
人を認識して近寄ってきたり、抱っこを求めたりするなど、非常に生き物らしい動きを見せてくれます。
Moflinよりもかなり大型で、存在感があります。
2026年9月確認時点で、LOVOT 3.0の本体価格は577,500円(税込)。
さらに月額サービス料金も必要です。
なお、GROOVE Xは原材料費・製造費・物流費の高騰を理由に、2026年10月26日から599,500円(税込)、2027年1月中旬以降は649,000円(税込)へと2段階で本体価格を改定すると発表しています。
購入を検討している場合は、値上げ前後どちらのタイミングになるか確認しておきましょう。
そのため、
「本格的にロボットを家族として迎えたい」
という人向けの製品といえるでしょう。
NICOBO(ニコボ)
NICOBOは、パナソニックが展開しているコミュニケーションロボットです。
特徴は、完璧すぎないこと。
のんびりした反応をしたり、自由気ままに過ごしたりと、少し不完全なコミュニケーションそのものを楽しむロボットです。
本体価格はMoflinに比較的近く、
「MoflinとNICOBO、どっちがいい?」
と比較されやすい存在です。
Moflinはモフモフした身体を抱っこして楽しむタイプ。
NICOBOは部屋の中で一緒に過ごし、ゆるいコミュニケーションを楽しむタイプ。
同じコミュニケーションロボットでも、かなり方向性が違います。
Romi(ロミィ)
Romiは、MIXIが開発している会話型AIロボットです。
Moflinとの一番大きな違いは、
「会話」
です。
Romiは、人との会話を楽しむことを重視したAIロボット。
そのため、
「今日あったことを話したい」
「AIとおしゃべりしたい」
「会話相手が欲しい」
という人にはRomiが向いています。
一方、
「モフモフしたペットを抱っこしたい」
という人にはMoflinのほうが向いています。
aibo(アイボ)
AIペットと聞いてaiboを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ソニーのaiboは犬型のAIペットです。
自分で歩き回り、人とのコミュニケーションを通して少しずつ成長していきます。
本物の犬に近い、
「歩く」
「近づいてくる」
「しぐさを楽しむ」
といった体験ができることが特徴です。
ただしソニーは2026年6月25日、ERS-1000(アイボリーホワイト)について在庫がなくなり次第、日本国内での販売を終了すると発表しています。
既存ユーザー向けのベーシックプラン・プレミアムプランやMy aiboアプリ、修理・aiboドックなどのサービスについては継続予定となっています。
これから購入を検討する場合は、販売状況を確認しておきましょう。
人気AIペットを比較
Moflin
本体価格:59,400円(税込)
タイプ:ふれあい型
月額料金:必須なし
特徴:モフモフ、抱っこできる、感情や性格が成長する
NICOBO
本体価格:約6万円
タイプ:コミュニケーション型
月額料金:あり
特徴:ゆるいコミュニケーション、のんびりした性格
Romi
本体価格:約10万円(98,780円)
タイプ:会話AI型
月額料金:あり(月払い1,958円・年払い19,580円など)
特徴:AIとの会話を楽しめる
LOVOT
本体価格:577,500円(税込)※2026年10月26日から段階的に649,000円まで値上げ予定
タイプ:自律移動型
月額料金:あり
特徴:自分で動く、人を認識する、抱っこできる
aibo
本体価格:在庫限りで販売中(新規購入可否は要確認)
タイプ:犬型AIペット
月額料金:あり(ベーシックプラン・プレミアムプラン/既存オーナー向けに継続)
特徴:歩く、成長する、犬のようなしぐさ
注意:国内販売終了予定
MoflinとLOVOTはどちらがおすすめ?
どちらもAIペットですが、かなり性格が違います。
Moflinは、
「小さなペットを抱っこしてかわいがりたい人」
向け。
LOVOTは、
「家の中を動き回るロボットと本格的に暮らしたい人」
向けです。
価格にも大きな差があります。
初めてAIペットを購入する場合には、Moflinのほうが比較的始めやすいでしょう。
MoflinとNICOBOはどちらがおすすめ?
価格が比較的近いため、MoflinとNICOBOで迷う人も多いでしょう。
モフモフした触り心地や抱っこを重視するならMoflin。
ゆるい会話や、部屋の中で一緒に過ごす感覚を重視するならNICOBO。
という選び方がおすすめです。
MoflinとRomiはどちらがおすすめ?
この2つは目的がかなり違います。
Moflinは、
「触れ合うAIペット」
Romiは、
「話すAIパートナー」
です。
AIと会話したいならRomi。
ペットのような存在と触れ合いたいならMoflin。
と考えると分かりやすいでしょう。
まとめ|Moflinは「便利なAI」ではなく、一緒に育っていくAIペット
Moflinのおもしろさは、質問に何でも答えてくれることではありません。
なでる。
抱っこする。
話しかける。
一緒に過ごす。
そんな何気ない毎日の積み重ねによって、Moflinの感情や性格が少しずつ変化していきます。
本体価格は59,400円(税込)。
Moflinを使用するための月額料金は必須ではありません。
さらに2026年には、USB Type-Cに対応した新しいMoflinハウスを採用するPE-M11シリーズも登場しました。
本物の犬や猫とはもちろん違います。
しかし、
「動物を飼いたいけれど飼えない」
という人にとって、
「AIペットと暮らす」
という新しい選択肢が生まれています。
AIが生活の中に入り始めている今だからこそ、Moflinのような「役に立つためではなく、一緒に過ごすためのAI」は、これからさらに身近な存在になっていくのかもしれません。
出典
・カシオ計算機 Moflin公式サイト
・カシオ計算機 Moflinサポート(Club Moflinについて)
・カシオ計算機 ニュースリリース
・RobotPlanet Moflin紹介ページ
・GROOVE X LOVOT公式サイト
・ロボスタ「LOVOT 3.0」本体価格改定について
・パナソニック NICOBO公式サイト
・MIXI Romi公式サイト(価格ページ)
・ソニー「aibo」ERS-1000国内販売終了のお知らせ
※価格・サービス内容・販売状況は変更される場合があります。購入時は各メーカーの公式サイトで最新情報をご確認ください。










