最近培養肉の話題を聴くことが多くなっています。
地球に優しく、健康にもいいということで話題になっているのです。
まだ培養肉の中心はアメリカですが、日本でも研究が続けられ、バイオテクノロジー企業が増えています。
培養肉は代替肉と呼ばれる分類に入れられる肉です。
代替え肉として最初に登場したのは、大豆などの植物を利用したものでした。
最近になって家畜の幹細胞を取り出して、バイオテクノロジーを使って、食感まで肉のように加工できるようになりました。
まだ新しい培養肉ですが、そのメリットとデメリットを見ていきましょう。
培養肉のメリットとデメリット
培養肉のメリット
少ない資源で生産できる
培養肉の生産は、現在の食肉生産に比べて遥かに少ない資源で出来ます。
・エネルギー 7~45%
・土地 99%
・水 82~96%
・温室効果ガス 78~96%
それぞれ減らすことができるという試算が出ています。
食糧難の解消
日本を始めとする先進国では人口減少が始まっていますが、発展途上国ではこれからも人口の増加が見込まれています。
その人口増に今のままの食糧事情では、食料の不足が近い将来にも考えられているのです。
培養肉によって食料としての肉が確保され、家畜の餌が減ることでその分の食料不足が解消できるようになるのです。
環境への悪影響を減らせる
牛のゲップから出されるメタンガスなどの温室効果ガスが減ることで、地球の温暖化を防ぐことができます。
メタンガスを抑える方法はありますが、コストが壁になって進んでいません。
牛の数を減らすことができる培養肉の普及は、地球環境にもいい選択と言えます。
今までの食生活を変えなくてもいい
大豆や植物由来の代替肉は、肉と言っても味や栄養分は本物の肉とは比べ物になりません。
その点培養肉は、元は牛の幹細胞を培養したものなので、味が少し淡白なことを除けば、今までの肉と変わりありません。
つまり、今までの肉を食べる食生活を変える必要がないのです。
人間は、今まで習慣を変えるのが苦手です。
そのための培養肉は、食生活を変えることなく、今までの習慣を変える必要がないわけです。
電力の使用量を減らせる
培養肉には冷蔵庫を必要としないものも開発されており、その培養肉が普及してくれば電気の使用量を減らすことができます。
このことも地球温暖化を遅らせる方法の一つとして期待されているのです。
牛の屠殺数を減らせる
培養肉が普及すれば、それにつれて牛の飼育数も少なくなっていって、結果として牛の屠殺数を減らす事ができます。
培養肉のデメリット
コストが高い
培養肉の一番のデメリットは、コストが高いことです。
2013年にオランダで開発された培養肉を使ったビーフパティが、約3500万円ものコストが掛かっていました。
コストを下げる技術は年々進歩していて、コストのうちの大部分を占める培養液の成分見直しなどで、コストダウンを図っています。
あまり美味しいとは言えない
大豆や植物由来の代替肉よりは良くはなっていますが、まだ本当の肉の味にはなっていません。
味が淡白で美味しさはまだ本当の肉には劣っています。
慣れると普通に培養肉が、本当の肉に変わるものとして認知されていくでしょう。
雇用が減る
牛の畜産に携わっている人たちの雇用が減ります。
牧場経営から、食肉業者、運搬業者、販売業者など、牛だけを見ても多くの関係者が仕事をしています。
牛の数が減れば、当然それを仕事としている人が余ってきます。
その余った人たちの雇用が減り、大量の失業者を生むことになります。
世界中の雇用が減れば、大きな影響が出ることでしょう。
培養肉の作り方
現在主流の培養肉の作り方は、牛の幹細胞を採取して培養する保法です。
幹細胞は内臓から筋肉まで作る能力を持っています。
山中伸弥教授によるiPS細胞など、人の再生医療にも利用されている技術です。
・牛から幹細胞を採取する(筋細胞のみ)
・培養液に浸して細胞を育てる
・生まれた筋細胞を筋肉組織へと育て、これを重ねることを繰り返す
培養肉の安全性
動物の細胞から作られる培養肉は、安全と思ってもいいでしょう。
培養肉は衛生環境が整った環境で培養されることで、細菌や病原体の付着がほとんどありません。
ラボで培養されることで、家畜の感染症や予防のための抗生物質の使用がありません。
今までも畜産では、鳥インフルエンザなどの家畜感染症で、多くの家畜が殺処分されています。
それに対処するために、ワクチンや抗生物質の使用で予防をしていますが、抗生物質の使いすぎで薬剤耐性菌を発生さるリスクがあります。
培養肉の生産は、家畜の数を減らすことができ、家畜感染症も減らすことができ、薬剤耐性菌を発生させることもなくなります。
ただ、培養肉はまだ開発されてから日が浅く、人体に与える影響はまだよく解明されていないのが現状です。
まとめ
培養肉は地球温暖化を遅らせる大きな力になることが考えられます。
牛のゲップから出るメタンガスは、地球温暖化のかなりの部分を締めているのです。
培養肉が普及して牛の飼育頭数が減れば、それだけメタンガスが減って地球温暖化も遅れるのです。
地球の人口が増えることで食料が足りなくなります。
培養肉はその食糧不足を防いでくれる食料になります。